201201the Quintessence. Vol.43 No.1/2024—0201福岡県勤務 田中ひでき歯科クリニック連絡先:〒814‐0132 福岡県福岡市城南区干隈2‐1‐19キーワード:ダイレクトボンディング,シェードテイキング,マッピング田中 礼患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄上顎前歯部審美障害に,デジタルシェードテイキングを用いてコンポジットレジン修復を行った1症例検査・診断,治療計画■どのように検査を進め,診断したか:口腔内所見より,₁CR脱離,₁CRの色調不良(図1a),デンタルエックス線写真より,₂₃のコンタクト部分に象牙質に至るう蝕様透過像を認めた(図1b~d).全体的に歯頸部と歯周ポケット内にプラークの付着を認めた. 患者は脱離した₁の修復と同時に,前歯部全体をきれいにしたいと希望した.患者の希望する歯の形態にするために,形態回復と色調再現,かつ材料物性にも優れるポーセレンラミネートべニア(PLV)修復をまずは計画した. しかし,患者は矯正歯科治療の動的治療終了後1 臨床経験年数 2017年北海道医療大学卒業.在学中に,インドネシア大学,イエテボリ大学にて短期研修.大学卒業後,九州大学病院総合診療科にて研修,歯科・林美穂医院にて半年研修,2018年ひじや歯科医院勤務,2020年より田中ひでき歯科クリニック勤務.日本歯周病学会,日本口腔インプラント学会,岩田塾,STEP所属.2023年日本歯周病学会認定医取得. 診療方針 審美修復や補綴治療において,長期の予後まで考慮した治療を心がけている.治療完了後の感動を患者に共有してもらえることをつねに目標としている. 日々の臨床 来院患者は歯周治療,補綴治療,インプラント治療が多く,矯正歯科治療を含む全顎治療が多い.インプラント治療,咬合再構成を除く歯科治療全般を担当している.矯正歯科治療10%歯周治療30% 歯内療法10%補綴治療30%インプラント治療20% 日常臨床で行う治療の内訳患者のバックグラウンド 患者 57歳,女性.主訴は前歯が折れた.性格は明るくおおらかで,治療にも協力的. 主訴 2日前に前歯が折れた.友人に「前歯が残念」と言われたことが気になって歯を見せて笑えない. 歯科既往歴 矯正歯科治療終了後1年目で,保定期間中.他院にて₂₁₁₂₃にコンポジットレジン(以下,CR)修復が施されている. その他 遠方からの来院のため,少ない回数でまとめて治療を行ってほしいとのこと.経済面では,必要な治療に対しては制限がない.まだ保定装置が装着されていることもあり,可能であればリペア可能な処置のほうが安心できる.2024年1月号
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