2024年2月号189189the Quintessence. Vol.43 No.2/2024—0431患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄多数歯欠損に対しインプラントを用いて咬合再構成を行った1症例検査・診断,治療計画■どのように検査を進め,診断したか:上顎は多数歯の欠損を認め,残存歯による咬合支持が少なく,残存歯の保全のために歯周組織精密検査,模型検査,CT検査,顎機能検査,セファロによる分析など全顎的な検査を行った(図1).■検査結果および治療計画説明時の患者の反応:検査の結果,オーバーデンチャーの人工歯の摩耗,左側臼歯部のポーセレンのチッピングにより適正なアンテリアガイダンス,確実なバーティカルストップが欠如していると診断した.下顎左側臼歯部の近心傾斜による位置異常があり,咬合平面の不正,ポケットが4mm以上の部位にBOPを認め,さらに不 臨床経験年数 2003年日本大学松戸歯学部卒業,2007年原田歯科クリニック勤務を経て,2013年山口よしのぶ歯科医院開設.日本臨床歯科学会(SJCD)東京支部,日本口腔インプラント学会,日本顕微鏡歯科学会,日本顎咬合学会,日本歯内療法学会,日本歯科放射線学会所属.SJCD東京支部レギュラーコース,マスターコース,マイクロコースを受講. 診療方針 一口腔単位を総合的に捉えながら治療ゴールを目指すことを基本に,検査,診断をしっかりと行い,包括的な精密治療を心掛ける.また,長期予後を見据えながら患者に寄り添う診療を目指す. 日々の臨床 歯周治療や修復・補綴治療を行い,また,欠損補綴治療ではインプラント治療を軸に,歯科衛生士と歯科技工士とチームで行う.歯周治療20%歯内療法10%インプラント治療20% 矯正歯科治療5%補綴治療25%修復治療20% 日常臨床で行う治療の内訳患者のバックグラウンド 患者 66歳,男性,会社経営者.2016年3月初診.自分の意見をハキハキとしっかりと伝えるタイプ. 主訴 入れ歯が噛みにくく嫌になった.自分の歯のように噛みたい. 歯科既往歴 若い頃にバイク事故により数本の歯を喪失し,義歯を装着.その後,う蝕治療,歯牙破折などで抜歯や補綴装置の再製作を行い,現在の状況になったとのこと. その他 新たに義歯を作り直すなら,もう一度自分の歯のように噛みたいと希望.人前で講演を行うことが多いので,大掛かりな外科処置,矯正歯科治療は希望しない.全身的既往歴に,特記事項はなし.東京都開業 山口よしのぶ歯科医院連絡先:〒111‐0031 東京都台東区千束1‐8‐1キーワード:抜歯即時埋入,歯冠長延長術,カスタムインプレッションコーピング山口宜伸
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