MFS 2024年3月号(お試し版)
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the Quintessence. Vol.43 No.3/2024—0656188188岩渕義之埼玉県開業 東浦和ひだまり歯科連絡先:〒336‐0923 埼玉県さいたま市緑区大字大間木412‐4■どのように検査を進め,診断したか:患者は2017年に来院(図1).その際に下顎左側部の痛みを訴えており,前担当医によって₇の保存が試みられたが,抜歯に至ったとのこと. その後に来院が途絶え,翌年に下顎右側部の咬合顎前歯をぶつけた際に動揺が生じ,そのときに他院で行われた暫間固定はそのままになっていた.下顎臼歯部欠損は,う蝕や歯根破折によって10年以上前に抜歯を行ったとのこと. その他  通院の日程や予約時間の制限は少なく,経済的にも比較的余裕がある.痛で再来院した際に筆者が担当となった(図2). ₇は慢性根尖性歯周炎と診断し,感染根管治療を行った.その治療中に左側の咬合痛が発現し,デンタルエックス線写真にて破折線を確認した.患者は噛みごたえのある食ベ物を好んでいたため,ブラキシズムや咀嚼の影響によって破折が生じたと考えた.下顎両側最後方臼歯にトラブルを抱えるなかで,2024年3月号患者のバックグラウンド検査・診断,治療計画 臨床経験年数  2015年日本歯科大学生命歯学部卒業後,東京医科歯科大学にて臨床研修.2016年同大学歯周病学分野大学院研究生を経て,山口歯科医院および斉田歯科医院にて勤務.2023年3月に東浦和ひだまり歯科を開業.日本歯周病学会認定医.火曜会,なんかよう会,臨床歯科を語る会,VL会,SSS所属.2019年臨床基本ゼミ受講. 患者  67歳,女性,専業主婦.性格は明るく,自分の意見をしっかりともっており,意志が強い印象を受けた.食べることが好きとのこと. 主訴  右側で噛むと痛む. 歯科既往歴  歯科医院への受診は久しぶりとのことで,以前に上患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄キーワード:自家歯牙移植,咬合支持,ヘミセクション 診療方針  患者の気持ちに寄り添う姿勢を忘れず,臨床記録と診断力を重んじ,経過観察から根拠をもった治療を行うように心がけている. 日々の臨床  日本歯周病学会認定医として歯周基本治療を重視し,患者の個体差を見極め,個別対応を行っている.歯の保存にこだわり,患者との対話を通じて幅広い治療選択肢を提案できるようにしている. 日常臨床で行う治療の内訳 小児,矯正歯科治療5%補綴治療20%修復治療30%My First Stage 移植,インプラント治療5%歯周治療20%根管治療20%自家歯牙移植により,臼歯部咬合支持の回復を図った1症例

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