MFS 2024年4月号(お試し版)
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154154the Quintessence. Vol.43 No.4/2024—0848My First Stage患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄矯正歯科治療後に生じた骨縁下欠損および歯根露出に対して歯周組織再生療法を行った1症例検査・診断,治療計画■どのように検査を進め,診断したか:骨欠損状態およびクリニカルアタッチメントレベルを把握するために,歯周組織検査およびデンタルエックス線写真撮影を行った.また,₅の唇側歯槽骨の幅径および頬舌側的な位置を確認する目的にCBCTを撮影した(図1d). 歯周組織検査にて₅遠心に6mmの歯周ポケットおよび唇側中央には8mmのCALを認めた(図1e).唇側歯頸部にはコンポジットレジンが充填され,歯肉辺縁には歯石の沈着を認め,デンタルエックス線写真では₅遠心に骨吸収を認めた.CBCT像にて₅の位置異常は認めなかったが,唇側骨は菲薄化 臨床経験年数  2009年東京歯科大学卒業後,慶應義塾大学医学部歯科・口腔外科学教室入局,2017年井原歯科クリニック開業.日本歯周病学会専門医・指導医,日本口腔インプラント学会専門医,日本臨床歯周病学会認定医. 診療方針  術式,治療方針を決定するうえで必要な要素には,患者の年齢,性別,全身疾患の有無,治療に対する希望,理解度,治療期間,経済的背景が挙げられる.これらの要素を総合的に考えて,「それぞれの患者にとって最適な医療」を第一に治療方針を立案している. 日々の臨床  歯周病専門医として,歯周治療を中心にインプラント治療も行っている.患者の「歯を保存したい」という要望に応えられるように,歯周組織再生療法における正しい診断と技術の研鑽に努めている.インプラント治療30%歯周治療40%補綴治療30% 日常臨床で行う治療の内訳患者のバックグラウンド 患者  40歳,女性.初診は2018年2月. 主訴  矯正歯科治療後の骨縁下欠損および歯根露出の改善を目的に,矯正医より紹介にて当診療所に来院. 歯科既往歴  2007〜2009年まで矯正歯科にて矯正歯科治療を行っていた.2007年の矯正歯科初診時には₅に歯肉退縮があり,動的治療中に進行したとのこと. その他  時間的,経済的な制約はないが,遠方より来院のため治療回数が少なくなることを希望.東京都開業 井原歯科クリニック連絡先:〒152‐0035 東京都目黒区自由が丘1‐3‐16‐1Fキーワード:歯周組織再生療法,上皮下結合組織移植術,垂直性骨吸収井原雄一郎2024年4月号

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