169169the Quintessence. Vol.43 No.5/2024—1061患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄潜在的病的咬合に対し,インプラント治療や矯正歯科治療を行った1症例検査・診断,治療計画■どのように検査を進め,診断したか:当院で採用しているMTM(メディカルトリートメントモデル)に則り,口腔内写真,顔貌写真,パノラマエックス線写真,デンタルエックス線写真10枚法,歯周組織検査(図1,2),唾液検査などの基礎資料を採得後,顎関節と筋の触診検査を行った. 唾液検査の結果,ミュータンス菌数およびプラークの蓄積量が多く,飲食回数も多いため,徹底したブラッシング指導と食事指導が必要であると判断した.また,左側顎関節にクリック音があり,左側咬筋深部と顎二腹筋後腹に圧痛を認めた. 以上のことから,う蝕リスクの非常に高い潜在的 臨床経験年数 2004年九州歯科大学歯学部卒業.2009年同大学大学院にて学位(歯学博士)取得.2010年ふるいち歯科クリニック勤務.2012年りきまる歯科クリニック開院.2016年医療法人りきまる歯科クリニック開設.日本顎咬合学会認定医,北九州歯学研究会,日本審美歯科協会,日本歯科保存学会,日本臨床歯周病学会,日本包括歯科臨床学会.みに甲斐会,琢善塾,志学会所属. 診療方針 「真の患者利益は何か」をつねに考え,患者にていねいな説明と適切な歯科治療を行うことを心がけている. 日々の臨床 子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が来院している.予防歯科をベースにあらゆる分野の歯科治療を患者に寄り添いながら提供している.補綴治療20%歯周治療20%歯内治療20%外科治療10%保存修復治療25%矯正歯科治療5% 日常臨床で行う治療の内訳患者のバックグラウンド 患者 48歳,女性(2019年2月初診).性格は真面目かつ温厚で優しい.治療説明にも耳を傾け,予約時間などはきちんと守る.洋菓子店で勤務しているため,甘いものを食べる機会が多い.全身疾患はなく,30~45歳の間は喫煙していた(現在は禁煙). 主訴 右下の詰め物が取れ,冷たいものを口にすると痛みが強いので治療してほしい. 歯科既往歴 自身の口腔内にあまり関心がなく,何か困った時だけ歯科医院に通院していた. その他 時間的および経済的余裕があり,再治療の必要があればこの機会に行いたいとのこと.福岡県開業 りきまる歯科クリニック連絡先:〒801‐0834 福岡県北九州市門司区本町2‐10‐2Fキーワード:歯周組織再生療法,LOT,リッジプリザベーション力丸哲哉2024年5月号
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