the Quintessence. Vol.43 No.11/2024—2462162162馬庭 望患者のバックグラウンド検査・診断,治療計画 日常臨床で行う治療の内訳補綴・保存治療20%矯正歯科治療20% 臨床経験年数 2012年に広島大学卒業後,2013年 に 同 大 学 に て 研 修 医.2013年よりきずな歯科クリニック勤務.5 -Dペリオインプラントコース,5 -Dアドバンスコース受講.5 -D Japan,ITD,periosthetics 所属. 診療方針 主訴の改善を行うことはもちろんのこと,患者には今後トラブルが生じうる可能性のある部位などについて十分に説明し,患者が自 患者 59歳,女性,非喫煙者.おとなしく温厚な性格. 主訴 右上前歯の根元あたりが痛い. 歯科既往歴 2018年 5 月に₂ の根尖部圧痛を主訴に来院した.20患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手 Dr. にご登場いただく欄キーワード: 硬・軟組織増生,インプラント治療,root submergence technique(RST)身の口腔内に興味や関心をもっていただくことを方針としている. 日々の臨床 医院の地域柄,歯の欠損や位置異常のある患者が多いため,補綴治療や歯内療法だけでなく,インプラント治療や矯正を含めた全顎的な治療を行っている.また,さコープを用いており,できる限り歯周組織に対して侵襲の少ない治療を心がけている.My First Stage兵庫県勤務 きずな歯科クリニック連絡先:〒651‐1351 兵庫県神戸市北区八多町中804まざまな外科処置にマイクロス年ほど前に ₁₂を抜歯し,₁₂のロングスパンブリッジを装着したとのことだった. その他 患者は歯科治療に対する恐怖心をもっていたが,口腔内の清掃状態は良好であり,口腔内への関心も高い.■どのように検査を進め,診断したか:₂ には根尖部圧痛,打診痛を認めた(図 1 a).デンタルエックス線写真にて太いダウエルコアが装着されており,根尖透過像を認める.ただし,明らかな破折線像は認められなかった(図 1 b). 20年前に抜歯した ₁₂部に関しては,顎堤の垂直的および水平的骨吸収を認めた.■検査結果および治療計画説明時の患者の反応:診断後に₂ の保存を試み,根管治療を行い経過観察していたが, 3 か月後に症状が再発したため,残存歯質量なども考慮した結果,抜歯とした. 残存歯質が少なく,失活歯である₂₁ を使用するロングスパンブリッジは,破折などが生じた場合に早期の治療介入の可能性があったため,補綴設計として₁₂のインプラントブリッジを選択した.その際,ポンティックサイトとなる₁ は歯根周囲2024 年 11 月号 歯内療法10%歯周治療30%インプラント治療20%前歯部多数歯欠損に硬・軟組織増生をともなうインプラント治療を行った 1 症例
元のページ ../index.html#1